湯桶読み
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| 契丹文字 女真文字 西夏文字 | ||||||||||||||||||||
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湯桶読み(ゆとうよみ)は、日本語における熟語の変則的な読み方の一つ。漢字2字の熟語の 上の字を訓として、下の字を音として読む「湯桶」(ゆトウ)のような熟語の読みの総称である[1]。広義では漢字二字のみに限らず前半を訓読み、後半を音読みで読む熟語を言う。原則として規範的な読み方ではないとされるが、現代の日本語においては、漢語と和語が結合した混種語も日常語として深く浸透しており、慣用になっているものも少なくない。
これに対して、上の字が音読みで下の字が訓読みのものを重箱読みという[2]。
概説
[編集]例えば、朝晩(あさバン)、雨具(あまグ)、などがある。これらの語は漢語ではなく、和語と漢語との混種語で、和語の部分を漢字で表記したものにすぎない。
これまでに発見されている最古の湯桶読みは、『万葉集』の「手師(てシ)」(習字の先生の意)と言われている[3]。
なお、湯桶とは、湯や酒を注ぐための容器のことである。現代では懐石料理と蕎麦屋でしか使われないが、近代以前には一般的なものであった。
湯桶読みの例
[編集]該当項目内に関連記述があるものは、cf. にて特記する。
- 小兵(こヒョウ)
- 猿楽(さるガク)
- 白菊(しらギク)(wikt)
- 敷金(しきキン)
- 高台(たかダイ)
- 薪能(たきぎノウ)
- 血肉(ちニク)(wikt)
- 手数(てスウ)
- 手帳(てチョウ)
- 鶏肉(とりニク)(wikt)
- 豚肉(ぶたニク)(wikt)
- 太字(ふとジ)(wikt)、細字(ほそジ)
- 見本(みホン)(wikt)
- 目線(めセン)(wikt)
| 熟語 | 読み | 備考 |
|---|---|---|
| 湯桶 | ゆトウ | (wikt) |
| 朝晩 | あさバン | (wikt) |
| 油絵 | あぶらエ | |
| 雨具 | あまグ | |
| 甘食 | あまショク | |
| 甘茶 | あまチャ | |
| 粗熱 | あらネツ | |
| 粗利 | あらリ | |
| 梅酒 | うめシュ | |
| 大仰 | おおギョウ | |
| 遅番 | おそバン | [参考 1] |
| 親機 | おやキ | [参考 2] |
| 親分 | おやブン | [参考 3] |
| 影絵 | かげエ | |
| 株券 | かぶケン | (wikt) |
| 雷竜 | かみなりリュウ | cf. アパトサウルス#異名、和名など |
| 切土 | きりド | (wikt) |
| 子機 | こキ | [参考 4] |
| 子分 | こブン | [参考 5] |
| 指図 | さしズ | |
| 鈴蘭 | すずラン | [参考 6] |
| 立役 | たちヤク | [参考 7] |
| 立役 | たてヤク | [参考 8] |
| 立役者 | たてヤクシャ | |
| 強気 | つよキ | [参考 9] |
| 強吟 | つよギン | [参考 10] |
| 永年 | ながネン | |
| 練製品 | ねりセイヒン | |
| 野宿 | のジュク | |
| 早番 | はやバン | [参考 11] |
| 盛土 | もりド | (wikt) |
| 結納 | ゆいノウ | |
| 夕刊 | ゆうカン | |
| 床本 | ゆかボン・ゆかホン | |
| 雪合戦 | ゆきガッセン | |
| 湯気 | ゆゲ | |
| 湯銭 | ゆセン | |
| 湯茶 | ゆチャ | |
| 弱気 | よわキ | [参考 12] |
| 弱吟 | よわギン | [参考 13] |
| 若気 | わかゲ | |
| 若衆 | わかシュ・わかシュ | |
| 若僧・若造・若蔵 | わかゾウ | |
| 業師 | わざシ | |
| 綿菓子 | わたガシ | |
| 綿帽子 | わたボウシ | |
| 割印 | わりイン | [参考 14] |
| 割勘 | わりカン | [参考 15] |
| 割注 | わりチュウ | |
| 悪気 | わるギ |
また、本来は音読みをする単語であるが、同じ分野で用いる同音異義語や似た音の言葉が存在するため、あえて慣用で湯桶読みを行う事例もある。この事例は説明読みともいう。以下が代表例。
- 買春(かいシュン)[4]……売春(バイシュン)
- 引数(ひきスウ)[5](wikt)……因数(インスウ)
- 市立(いちリツ)[6](wikt)、私立(わたくしリツ)[7](wikt)
- 化学(ばけガク)[8](wikt)……科学(カガク)
- 首長(くびチョウ)[9](wikt)……市長(シチョウ)、首相(シュショウ)[10][11]
以下は当て字であることがはっきりしているものや、漢字の選ばれ方に語義との脈絡が乏しく、当て字の性格が強いものの例。当て字の結果たまたま湯桶読みに見える形になったケースである。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 「湯桶読み」- 広辞苑第六版
- ^ 「重箱読み」- 広辞苑第六版
- ^ 『お言葉ですが… 4 広辞苑の神話』 文藝春秋〈文春文庫〉
- ^ 日本語なんでも相談室
- ^ 「引数」 - コトバンク
- ^ 「市立」 - コトバンク
- ^ 「私立」 - コトバンク
- ^ 「化学」 - コトバンク
- ^ 「首長」 - コトバンク
- ^ 「首長」と書いて「くびちょう」と読むことはありますか? テレビでそう発音している人を見かけたのですが……。 漢字Q&A、漢字文化資料館、大修館
- ^ 行政組織の長である「首長」のヨミについて。シュチョウ、クビチョウ、どちらが正しいのか知りたい。 レファレンス事例詳細、レファレンス協同データベース、2012年9月14日
- ^ 「時計」 - 語源由来辞典
参考文献
[編集]- 高島俊男『お言葉ですが… 4 広辞苑の神話』文藝春秋〈文春文庫〉、2003年5月10日。ISBN 978-4-1675-9805-1。
- 『お言葉ですが… 4 猿も休暇の巻』 2000年3月1日、ISBN 978-4-1635-6000-7 の改題文庫化。